生誕100周年を迎える淡島千景出演の小津安二郎監督『麦秋』を上映してみませんか。

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生誕100周年を迎える淡島千景出演の小津安二郎監督『麦秋』を上映してみませんか。

今年2024年は、日本の映画全盛期を代表する女優の淡島千景の生誕100周年となります。

快活でチャーミング、昭和20年代の日本人のなかで、とびきり垢抜けた容色はハリウッドから飛び出てきたような華やかさがありました。手塚治虫の漫画『リボンの騎士』のサファイア王女のモデルであったことは有名な話です。戦後の、開放された自由な空気を表現できる数少ないキャラクターとして映画界に新風を呼び起こすことになり、日本映画を代表する巨匠たちのもとで日本映画の全盛期を牽引してきました。日本を代表する映画女優なのに、最近では原節子や京マチ子、またはその下の世代の女優、山本富士子や若尾文子の影に隠れ、淡島千景の名前を聞く機会が少ないように感じますが、生誕100年を迎える今年、再び淡島千景に光が差すことを期待したいと思います。

 

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淡島千景は、1924年生まれ。戦中から宝塚の娘役のスターとして人気を博しました。人気絶頂のなか、娘役の寿命が短いことを心配していた淡島は、宝塚の先輩である月丘夢路からの誘いもあり、映画界へと進出することになります。映画デビュー作の『てんやわんや』(1950年。監督渋谷実)は大ヒットとなります。明るく快活でテンポの早い演技は評判を呼び、いきなりブルーリボン賞の演技賞を受賞することになりました。宝塚からは処罰として退団命令が出されますが、淡島千景の人気は止まることを知りません。出演第四作目は、デビュー作と同じ渋谷実監督、佐田啓二との共演の『自由学校』(1951)。こちらも大ヒット、人気を不動のものにしました。その後、弊社BUNKIDOのライナップでもある小津安二郎の『麦秋』や『お茶漬けの味』でも好演。その後も『にごりえ』、『君の名は』など名作への出演を重ね、『夫婦善哉』の出演につながります。この作品で喜劇役者から名優へと認められることになった森繁久彌と同様に、淡島千景も大女優として認めらるまでに成長することになりました。その後も長谷川一夫や京マチ子、山本富士子などと共演、市川崑、成瀬巳喜男、今井正、豊田四郎、五所平之助、川島雄三、内田吐夢など日本映画を代表する多くの名監督のもとで映画出演を重ね、押しも押されぬ大女優となりました。1960年代後半からは活躍の場を舞台やテレビにも広げるようになりました。亡くなるまで現役を貫き、舞台を中心に旺盛な活動を続けていましたが、2011年秋に肝臓がんが見つかり、僅か数ヶ月後の2012年2月に逝去しました。享年87歳。

 

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『麦秋』
公開年月日:1951/10/03 収録時間:124分
監督: 小津安二郎
出演者:原節子、笠智衆、淡島千景、三宅邦子、杉村春子

新しい時代に大家族が離散していく姿を描いた小津安二郎の傑作
嫁入りや両親たちの隠居によって宿命のように大家族が離散していく様を描く。日常的なユーモアを交えつつも、家族の離散という無常さを綴った小津安二郎の傑作。淡島千景のアヤ役は、28歳でも独身を貫いている紀子(原節子)の親友の設定。溌剌とした淡島千景の姿は、戦後の新しい時代の女性を表徴していてる。また映画に小気味よさと明るさを添えていて物語の進行において重要な役割を担っている。映画界にデビューしてまだ僅かに一年。若きの日の、小顔の麗しい淡島千景の姿を拝める希少な作品。1951年度キネマ旬報ベストテン第1位。